理(ことわり)を料る(はかる) ~料理が科学に出会うとき~ | 株式会社然|食の専門コンサルティング
理(ことわり)を料る(はかる) ~料理が科学に出会うとき~ 2016.12.05

最近、バラエティ番組などでも、
『料理は科学だ! 』と言われることが多くなってきました。

私達も、キッチンに立つことが多いのですが、
つくづく料理はサイエンスだと思います。

野菜を炒めたり、肉を焼いたりする際のプライパンやオーブンの中の反応は
まさに「化学反応」で出来た料理は「化学反応生成物」ともいえるでしょう。

実際、調理には経験やコツは必要で、大切でもあるのですが、
食べ物が美味しくなる過程をとことん追求していくと、料理を「科学」の視点で見ることが出来るのです。

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一方、科学の世界では、生物学を分子レベルで説明する「分子生物学」が
ウォーレン・ウィーバーによって提唱されて以来、現代の生命科学を劇的に進歩させてきました。

近年、注目を浴びている「分子栄養学」もその一つです。

さて、料理に戻りましょう。
20世紀後半に入って、それまで注目を浴びることのなかったスペインから、
ある一人のシェフによって、料理の世界は衝撃をうけることになります。

その名は、フェラン・アドリア氏。
スペインのカタルーニャ地方にある≪elBulli≫エル・ブリのシェフでした。
(※2011年に閉店 2014年にエルブリ財団設立)

エル・ブリで有名になった調理法の一つに、食材を泡にする
「エスプーマ(espuma)」という技術があります。

アドリア氏は、生クリームや卵白を泡立てた、ムースやメレンゲから発想を得て、
亜流化窒素などを使って、ソーダを作る器具を改良し、通常泡立つことのない、
野菜やハーブの泡を使った料理を生み出しました。

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他にもアドリア氏が創りだしたアイデアは沢山あるのですが、
この斬新な創作メソッドに「デコンストラクション(deconstruction)」と言う概念があります。

建築や文学批評で使われる言葉ですが、
アドリア氏は「古典料理や伝統料理のレシピと素材を徹底的に分解して、
組み立て直し、まったく新しいものを創り上げていく」という意味で使っています。

実際、彼が料理界に与えたインパクトはとてつもなく大きく、
集約すると次の3点でしょうか。

1.旧態然としたヒエラルキーが存在する料理界で、料理のレシピや調理法まですべての情報を公開。
2.クリエイティブな創作がチームによって出来上がる事を実証(ラボ)し、無名の若い料理人に希望を与えた。
3.料理と科学の融合が、次世代の料理発展に不可欠だと発信し続けたこと。

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アドリア氏の手法は、科学の世界と類似性が高く、
例えば、研究成果や手法を論文として公開すること、
学際的なメンバーを集めて、それぞれが得意な分野でカバーしあい、
チームで仕事をすすめるということなどは、とても重要で共通しています。

さて、料理と科学の実例を少し・・・

応用物理学のデービッド・ワイツ教授は、ステーキの焼き加減である、
「レア」 「ミディアム」の焼き具合がどのような変化があるのかを、それぞれ肉の上に重りをのせ、
肉の沈み具合を比べました。

肉の弾力性は、たんぱく質の分子連結密度に関係しているため、
分子間の距離が長くなれば密度は高まり、分子間の距離が短くなれば弾力性は減り固くなる、といったものです。

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さて、実はこういった料理と科学の出会いは、
和食である日本料理でも革新をもたらしています。

次回は、和食の科学に焦点をあててみましょう。

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