記録と記憶 | 株式会社然|食の専門コンサルティング 記録と記憶
記録と記憶  2019.11.01

時代が変化していく中で、私にとっては周囲を見渡すと便利な時代になったなぁと思います。
特にスマートフォンが現れてからは、情報の汎用性は格段にスピードアップしました。

情報やデーターの共有はもちろんですが、
中でも写真や動画は典型的な例の一つだと思っています。

先日、業務で使用するワークフローを共有していたのですが、
スマートフォンが無かった頃、それより前だと、各々自分のメモ帳や手帳に書き込んだものですが、
今では、スマートフォンにデーターとして記録する人が増えました。

困ったことは、いざこのワークフローを使用する場面になった際、
違った手順で作業を行っているのです・・・

「え、共有したものと違うでしょ。写真も撮っていたでしょう??」
『すみません! 見直します!』
 
最近よくある光景です。
弊社では学生団体のサポートも行っていますが、イベント前に写真もデーターもすべて共有しているのにも関わらず、
実際の現場で具現化出来ないのです。



クライアントと話してみると、様々な現場でも似たような事が起こっているようなのですが、
一体何故でしょうか?

私の修行時代は、ノートを取ることさえ叱られたことがあります。

「見て覚えろ!」
 
だから五感を研ぎ澄まして脳裏に焼き付けるしかなかったのです。
そして、すぐに自分でのやってみるか、隠れてノートに書き留めておく・・・


 
当時は「何て時代錯誤的な、効率の悪い習慣なんだろう・・・』と思ったものです。
もし間違えでもしたら、自分はともかくお客様にご迷惑がかかることにもなります。
 
時代は変わり、とても効率は良くなりました。

が、実際のところ、本当に良くなったのか?というと、昔のやり方のほうが確実性が高かったと思うのです。

昔は、説明も一度だけで、後で質問すると怒られますから
先輩の一挙手一同を見落とさないように集中して覚えたものです。

単純に見える動き一つにしても、何故そう動くのか?など考えながら、ほぼその瞬間に頭の中でイメージを叩き込んでいました。


 
しかし、実際のところ、本当に良くなったのかと言えばそうとは言えないのです。
それは、昔のやり方の方がきちんと対処できていたように思うのです。
 
昔であれば、説明も一度だけ、盛り付けも一度だけです。
あとで質問をすれば叱られるので、「この瞬間しかない!!!」その時だけが勝負でした。
 



では、今の写真や映像に残す方法はどうでしょう?確かに、写真を撮っておくと、鮮明なデータを残すことができます。
それに、あとで同じ画像を見ることができるという利点があります。

そう考えるととても良い部分が多いように思いますが、弱点もあります。

それは、
 
「記録してるから大丈夫」という妙な安心感が生まれてしまうことでしょう。

自分で考えることをせず、自分自身の中で実践し、生かしていかなければ価値は生まれません。
写真を撮るだけでは、作業にすらなっていないのです。

知識はある意味での記憶の積み重ねです。
ITの発達伴い、AIに仕事を奪われてしまう!ということが様々な場面で言われていますが、
単なる記録にしかすぎない写真や動画などに頼り過ぎていては、仕事が無くなっても仕方のないことでしょう。



仕事は作業ではありません。
アスリートと同じように、自分自身の能力を上げて行かなければ結果など出すことはかないません。

営業スタッフにも、日々、「Whyツール」や「Howツール」のトレーニングを奨励していますが、
さて・・・

文明の発達は、大いに享受すれば良いと思います。
ですが、「記録に残すもの」 「記憶に残すべきもの」 

この違いをきちんと踏まえて、仕事に取り組むことが大切だと思うのです。



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