「名プレイヤー、名監督にあらず」、スポーツの世界では良く使われるフレーズですが、
ビジネスにおいても、よくあることです。
ただスポーツと異なり、会社組織においては厄介な現実が多々あります。
特に中小企業においては、その対象が会社オーナーであったり、ファウンダーであったり、
トップに経営の知見がなく、放置状態になっていたり・・・
健全な成長と運営を行う為にも、役割の認識は必要かと思います。
実際、飛び抜けた実績でもなく、平均より少し上まわっているに過ぎない営業が
勘違いをして昇給を望んだり(アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)の一例)、
人事そのものが見る目がなく勘違いをして評価しなかったり、昇格させてしまったり、間違った適性による弊害は多々あります。
1. 役割の根本的な違い
● プレイヤーの役割(営業担当)
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自分自身の売上目標を達成することが主な使命
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お客様との商談、提案、フォローなど“現場”が主戦場
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個人スキルを磨き、成果を最大化することが中心
▶ キーワード:売る・動く・成果を出す「実行者」
● マネージメントの役割(管理職・リーダー)
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チーム全体の成果を最大化することが使命
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部下の育成、戦略の立案、仕組みづくりが主戦場
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自分が動くより“部下に動いてもらうための環境を整える”ことが中心
▶ キーワード:育てる・整える・導く「成果の創出者」
2. 業務内容の違い(営業を例に)
◆ プレイヤー(営業担当)
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顧客リストの作成・営業訪問
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商談の準備(資料・提案書)
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商品説明・提案 ⇔ 総務(営業)事務との連携
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契約締結 ⇔ 総務(営業)事務との連携
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アフターフォロー
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担当エリアの数字管理 ⇔ 総務(営業)事務との連携
▶ とにかく“売上をつくる”行動が中心
◆ マネージメント(管理職)
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チームの売上目標の設定
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戦略(優先顧客・優先商品)の決定 ⇔ 総務(営業)事務・財務との連携
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進捗管理(数字の分析と改善) ⇔ 総務(営業)事務・財務との連携
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部下の商談サポート・同行
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部下育成(教育・振り返り)
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仕組み化(マニュアル整備・業務改善)⇔ 総務(営業)事務・財務との連携・管理
▶ 自分ではなく部下が成果を出すための“環境”と“仕組み”をつくる
3. 求められるスキルの違い
● プレイヤー
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商品知識
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提案力・発想力・コミュニケーション力
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クロージング力
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迅速な行動力
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個人での高い生産性
● マネージメント
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目標設計力(KPI設定)
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育成スキル(教える・任せる・評価する)
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分析力(数字と現場の両面)
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チームビルディング(部門管理の他、総務や財務との連携)
※小さな会社運営と同等の知見と管理判断能力が必要 -
問題解決力
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部下を動かす指導力・コミュニケーション能力
▶ プレイヤーは“個人力”、マネージャーは“組織力”が必要
4. プレイヤーとマネージャーの思考の違い
◆ プレイヤーの思考
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「どうすれば自分が売れるか?」
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「どうすれば目の前のお客様に刺さるか?」
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「目標を達成するにはどのようにすべきか?」
◆ マネージャーの思考
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「どうすれば全体の売上を伸ばせるか?」
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「部下はどこで躓いているか?」
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「仕組みを変えれば全体の成果はどう上がるか?」
- 月次PL・CF・BSの管理・把握を行い、それに伴う行動が出来ているか?
▶ プレイヤー:点の思考(目の前)
マネージャー:面の思考(全体・未来)

5. よくある勘違い
❌ プレイヤーの成績が良い=良いマネージャーになれる
→ 必ずしも正しくない
優秀なプレイヤーは「自分が動けば結果が出る」タイプの人が多く、
マネージャーは「人を動かして結果を出す」必要があるため、全く別の適性が必要。
また、売る事しか出来ず、総務や財務と連携できていないケースは、時に組織にとってマイナスになる
❌ マネージャーも自分で売ればよい
→ それは“プレイングマネージャー”ですが、やりすぎると部下が育たない
6. 営業職の具体例でみる “役割の違い”
● プレイヤー
例:A社への新規営業
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事前調査
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訪問・ヒアリング
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提案資料作成
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商談
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契約
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アフターフォロー
→ 自分の担当顧客へのアクションが中心
● マネージャー
同じ営業活動でも…
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A社はどの営業が行くべきか適切に配置
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訪問前に部下と作戦会議(課題整理・トーク設計)
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商談同行してフィードバック
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うまくいかない場合は改善策を一緒に考案
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失敗事例・成功事例を組織で共有し、仕組み化する必要がある
→ “個別最適”ではなく“チーム最適”を考えるのが仕事
7. スタッフに伝えるべきメッセージ
プレイヤーは「成果を出す人」
マネージャーは「成果を出せる人を育てる人」
この役割の違いを理解せずに
“プレイヤーの延長線”でマネジメントをすると、
・部下が育たない
・自分が忙しくなる
・チームの伸びしろがなくなる
といった問題が起こります。
8. マネージャーが実践すべき3つの行動
① 教える(教育)
・業務のやり方
・考え方
・判断基準
・成功例・失敗例の共有
・方向性と大枠(仕組み)の設計(指示)
② 任せる(権限委譲)
・自分でやった方が早くても任せる
・任せたら口を出しすぎない
③ 振り返る(フィードバック)
・行動の良かった点、改善点
・数字を基にした分析
・次回の目標と行動設定
9. まとめ:最終的な違い
| 役割 | プレイヤー | マネージャー |
|---|---|---|
| 主な使命 | 自分の成果を出す | チームの成果を最大化する |
| フォーカス | 顧客・商談 | 部下・仕組み・戦略 |
| 成果の出し方 | 自分で動く | 部下を動かす |
| 必要スキル | 営業スキル | 育成・分析・戦略 |

内容を見ると、当たり前の事でうなづく人も多い事でしょう。
ただし、これらを自分で言語化し実践できるかどうかというと、
単なる批評家的になっているケースが役員や管理職レベルでもどれほど多いことか。
いわゆるアンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)の典型です。
結果として、売上が上がってしまっている場合は特に厄介です。
細部に至るまで、理解把握し、運営の指針と内容を示すことができなければ
経営はおろか管理職すら勤まりません。
オーナーやファウンダーは、少なくとも権利はあるのですから、個々の適性を理解し
己が保有する利益を健全に得る為にも、経営と権利が異なることを正しく理解すべきです。
出資者が経営が出来るかどうかは全く別問題です。
また株式の保有率によっても権利は異なりますし、法的にも同等ではありません。
適材適所と言いますが、伸びやかに未来を構築できる組織作りをしたいものです。
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