スープ
私はスープが大好きなのですが、日本ではお味噌汁になるでしょうか。
我が家では、祖母から母、そして私の削り節器3台が活躍しています。
鍋のコトコトいう音と鰹節を削る音は、何ともいえずホッとします。
世代的にはファーストフード真っ只中なのですが、祖母が食事を作ることが多かったせいか、
同世代とはちょっと感覚が違うのかも知れません・・・
さて、このスープですが西洋ではちょっと違った位置づけです。
汁物というより、れっきとした料理として主役なのです。
12世紀頃、いわゆるSoupはパンに肉や野菜を煮込んだ汁と具、あるいはパンにワインなどの果実酒をかけてふやかした粥状の料理のことをいいました。
ヨーロッパでは、伝統的にパンは食事のたびに焼きたてを供するものではなく、時間をかけて食べていくものだったのです。
その為、焼いてから時間のたったものは硬くなりますし、当時はライムギが主体だったので、硬い黒パンを常食としていた土地では、結果、保存食に加工したハムやベーコンなどと季節の野菜を鍋で柔らかく煮込み、硬いパンを浸して食べていたそうです。
これが17世紀以降、料理が洗練されるに従って、現在のSoupに近い料理になるのですが、
それでもスープは「飲む」(drink/boire)ではなく、「食べる」(eat/manger)と言います。
英語のsupperと同語源であることからもスープが食べ物だということが伺えます。
私がスープを好きになったきっかけは、辰巳芳子さんの料理です。
料理というものは本来こうあるべきといった、本質を伝えていらっしゃいます。
「食」という人にとって根源的なものに、真正面から向き合う姿勢に目からうろこが落ちる思いでした。
ミルクから離乳食に始まり、人が生を受け命を全うするまで、命を支える根本にあるのはスープであろうと思います。
コトコト鍋を煮込む音は、命を育む音。
衣食住の中で、食なしには人は生きていけません。
自分の為に、誰かの為に、作る料理。
美味しいといってもらえる、料理は素敵です。
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