か行
回帰分析
原因となる数値と結果となる数値の関連性を、統計的手法を用いて調べる方法です。原因となる数値を説明変数、結果となる数値を被説明変数といいます。説明変数が1つの場合を単回帰分析、2つ以上の場合を重回帰分析と言います。
単回帰分析を2次元のグラフに示す場合には、説明変数をX軸、被説明変数をY軸にとります。回帰分析は、予測や異常値の発見などに用いられます。単回帰分析では、「被説明変数の平均値と、個々の被説明変数との差の2乗」の総和が最小になるような近似直線を求め、Y=(aX+b)という形の数式を得ます。 変動費と固定費を求める方法でもあります。
過去の売上高(説明変数)と費用(被説明変数)の関係から回帰分析を行い、一次方程式を作成することによって固定費と変動費の値を求めます。上記の式において、aが変動費率、bが固定費ということになります。
外部環境
企業を取り巻く環境のうち、外部にあるもの。外部環境は、「マクロ環境」「市場環境」「競争環境」の3つに分類できます。企業の戦略策定に当たっては、これら3つを見落とさないことが重要です。
価格競争
市場における企業間、商品間の競争のうち価格面の要因による競争。価格競争は製品が差別化されず競争が激しいときや、プライスリーダーが存在せず競合がお互いを意識・牽制し合いながら価格を設定する業界などで、発生しやすい現象です。
市場内における競争において、品質競争、ブランド力といった他の要因も存在するが、価格以外で差別化が行いにくい商品、サービスも多いのが実態です。
しかし価格競争は、しばしば売り手同士に疲労感を残すだけという結果に陥りやすいのが実状。価格だけの競争になる前に、製品の差別化を図るなどの対策を練ることが大切です。
価格弾力性
価格の変動によって、ある製品の需要や供給が変化する度合いを示す数値。需要の価格弾力性の場合は、需要の変化率/価格の変化率の絶対値で表されます。
例えば、ある製品の価格を10%値上げしたときに、需要が5%減少したとすると、この場合の価格弾力性は0.5となります。この値が1より大きいと「弾力性が大きい」といい、1より小さいと「弾力性が小さい」といいます。
価格弾力性が小さい場合は、価格を変更してもほとんど需要は変化しませんが、価格弾力性が大きいと、価格が変わると需要が大きく変化します。通常、コメや野菜などの生活必需品は価格弾力性が小さく、宝飾品などの贅沢品は価格弾力性が大きいといわれます。
学習する組織/ラーニング・オーガニゼーション
Learning Organization
マサチューセッツ工科大学のピータ・センゲ教授は、「The Fifth Discipline」を著し、その中で「学習する組織」を「人々が継続的にその能力を広げ、望むものを創造したり、新しい考え方やより普遍的な考え方を育てたり、人々が互いに学びあうような場」と定義し、提唱しました。
このような目的を達成するために、センゲ教授は、以下の5つのツールを提言しました。
(1)システム思考やシステマチックな問題解決技法
(2)個々人の自己認識
(3)物事の認識の仕方
(4)共有化されたビジョン
(5)チームによる学習
学習する組織については、その後多くの研究者が様々な定義を行っています。D.A.ガービンは、学習する組織の構築のためのマネジメントツールとして次の5つを挙げています。
(1)TQCのような問題解決技法
(2)実験
(3)過去の経験や歴史からの教訓
(4)他社との比較
(5)組織内への知識のトランスファー
これらのポイントが意識的、体系的に認識され、具体的手法、行動パターンになるためのシステムや仕組みを作ることが、「組織」に求められています。
カスタマー・エクイティ
企業が持つ顧客生涯価値の総和のこと。
顧客一人一人がその企業に対してもたらしてくれる利益の合計。また、それに伴う顧客データベースに蓄積された顧客情報も、付加価値を生み出すという意味でカスタマー・エクイティに含まれます。カスタマー・エクイティを高めることが、企業競争力を高めることといえます。自社の顧客流出を抑え、新規顧客を多く開拓すること、そして、顧客との良好な関係を維持・発展させ、顧客生涯価値を高めることが重要になります。企業にとって顧客自体が重要な資産価値であるという考え方です。
カスタマーバリュー
ある製品に対して顧客が適正と認める価値のこと。
価格設定に及ぼす要因には様々なものがあるが、特に留意すべきとされるのが、
(1)製造コスト、(2)カスタマー・バリュー、(3)競争環境です。
利益を確保するためには、コストを上回る価格が必要なので、コストが価格の最低限度(価格の下限)となる。これに対し、カスタマー・バリューは価格設定に置ける上限値とされます。製品は、顧客が適正と認める価値を超える価格での販売は難しいからです。
通常、カスタマー・バリューはリサーチなどを通して見極めていきますが、それは正確なコストを把握する以上に難しい作業で、マーケティング担当者のスキルが問われるところです。
マーケティング担当者は、試用を促したり、製品特性を正確に伝達することなどにより、顧客を啓蒙し、その価値を認めてもらう必要があるのです。
仮説検証
仮説の真偽を、事実情報に基づいた実験や観察などを通じて確かめること。仮説検証は、以下の3つのプロセスを繰り返し行う「思考のプロセス」と捉えられます。
1.状況の観察・分析
現状の状況をよく観察する。何を観察するかは、その事象の状況によるが、プロジェクトなどで言えば、まず目的をしっかりと押え、背景にあるのは何か、またどのような制約条件があるのかを分析することが重要である。また、プロジェクトを進めていく上で、状況がどのように変わっていくかを分析する。
2.仮説の設定
「仮説」(ここでは『物事に対する仮の答え』とする)を設定する。例えば、「この商品はこうすれば売れるだろう」「これをすることにより、こんな効果があるに違いない」といったことである。
3.仮説の検証
設定された仮説が正しいかどうかを検証するためには、仮説を設定した時以上の情報が必要になる。リサーチを行う、あるいは実際に行動してみて、その結果を分析し、仮説が正しいかどうかを判断するための情報を得て、検証をする。仮説が収集した情報と照らし合わせ、間違っていればその仮説を修正する。
仮説検証とは、これらのプロセスを繰り返し行っていくことです。
カテゴリーキラー
ある特定の商品分野(家電・スポーツ用品・住居用品など)において、圧倒的な品揃えと安さを武器に展開する大型専門店のこと。 カテゴリー・キラーが出店すると、商圏内の競合店の当該カテゴリーの売上高が極端に低下し、取り扱いを止めてしまったり、部門廃止や縮小に追い込まれたりすることから、こう命名されました。
代表例として、玩具・子供用品のトイザらスや家電量販店のヤマダ電機、衣料品のファーストリテイリング(ユニクロ)などが挙げられます。
総合スーパーや百貨店のように、あらゆる商品分野を揃え、ワンストップを売りにする業態とは対照的に、カテゴリー・キラーは、デパートやGMS等の既存の業態が幅広く扱っていた商品の各分野を専門特化した品揃えをし、徹底的なコスト削減で低価格を売りにする点に特徴があります。
アメリカで生まれ、1980年代から急成長した短期間のうちに力を増したチェーンのカテゴリーキラーの代表的企業として、玩具・子供洋品のトイザらス、オフィス用品のオフィス・デポなどがあげられます。
その一方で、百貨店なども特定分野に絞り込んだ店舗開発を行ったり、インターネットによる低価格販売が浸透したり、これまでのカテゴリー・キラーの戦略は競争力を失いつつあります。このため、多くのカテゴリー・キラーは、価格以外の価値訴求による競争力強化を図っています。
カテゴリー・マネジメント
Category Management
カテゴリー・マネジメントは、消費者に対する洞察力を駆使して商品構成と販売促進を含めた売り方を最適化するマネジメント技法です。
消費者にとって適切なタイミングで、適切な場所(売場・棚)に、適切な商品を適切な価格で提供することで、需要の活性化を図ることを目的とします。
消費財企業でも、社内における商品開発、宣伝広告、営業、お客様相談室等のマーケティングに関わる機能間の連携が弱い企業が数多く存在します。カテゴリー・マネジメントは、店頭の品揃えと実績を起点とするマーケティング一貫のプロセスをいかに構築するかがポイントです。
(1)各機能で進められる業務遂行タイミングの見直し
(2)さまざまな意思決定場面での判断基準の確立
(3)市場と消費者に関する情報と知恵の共有
などを焦点として、販売機会損失を排除することが求められます。
カニバライゼーション
自社製品間で市場の食い合い(顧客の取り合い)をすること。製品ラインを拡張していると、ターゲットやコンセプトが類似してきてしまい、自社製品間の差別化が顧客に認知されないことが起こりえます。それを避けるため、製品ラインの整理や統廃合により拡大を抑制する、あるいはその差別化を顧客に認知させるようにマーケティング努力を行う必要がある。このチェックをするためには、ポジショニング・マップが有効です。
※ポジショニングマップ
競合関係にある商品・銘柄を特定の指標に従って座標空間上に位置づけ、地図のように表すこと。指標としては消費者の知覚イメージ・価格・製品属性や使用者属性などが用いられます。
環境経営
Environmental Management
環境経営とは、企業と社会が持続可能な発展(Sustainable Development)をしていくために、地球環境と調和した企業経営を行うという考え方です。
環境関連規制の対応だけでなく、幅広い環境活動が求められます。それらの活動には、環境マネジメントシステムの導入、事業所内の環境負荷の徹底低減のみならず、提供する製品・サービスのライフサイクル全体、およびサプライチェーン全体の環境負荷低減、環境事業への発展・転換、顧客や市場の環境意識向上の働きかけなどの活動が含まれます。
これらの活動を具体化していくためには、ISO14001、環境業績評価、CO2削減技術、 MFCA、ゼロエミッション、グリーン調達、ケミカルマネジメントシステム、エコデザイン、LCA、ファクター、エコラベル、エコビジネス探索、環境報告書、環境会計、ステークホルダーダイアログ、など様々な手法の活用が求められます。
環境経営を推進する上では、JMACが開発した「Eco-Ecoマネジメント」の考え方が有効です。
環境分析
企業を取り巻く内部・外部の経営環境を分析すること。競合を制するためには、的確な環境分析が必要だ。状況を正確に把握し、必要な情報を取捨選択し、それらを深い洞察力をもって解釈することにより、市場の機会と脅威を見出し、戦略課題を抽出します。
環境分析は、大きく外部分析と内部分析に分かれます。このうち、外部環境である顧客分析(Customer)と競合分析(Competitor)、および内部環境である自社分析(Company)の3つをまとめて3C分析と呼びます。これに、外部環境分析であるマクロ環境分析を加えた4つが、主な環境分析です。
企画購買
Designed Procurement
工業製品の原価は、開発設計段階までに80%以上決定付けられると言われ、この段階までの生産技術面の情報、機能製品情報、部品技術情報およびコスト情報、その他の必要情報を開発設計に生かす知識と技術力の優劣によりできあがる製品の原価が決定づけられます。
一方で市場ニーズは、製品の複雑化・高度化を促し、自社のみの能力では利益を生む商品を造りこむことが困難になりつつあります。
これに対応するには、具体的商品が想定できる最上流の企画設計段階で、競合他社に先駆けて外部の技術アイデア等を含め、安くつくる工夫を織り込む必要があります。
企画購買とは、「先行開発-開発-設計-試作-量産準備-量産」「立ち上り-安定化-成熟-衰退-撤退」という製品ライフサイクルを対象として、社外の技術・ノウハウを含めたコストの作りこみを企画実施することまたはその機能を言います。
企画購買は、原価企画、商品企画、開発設計機能との協業活動を主体とし、その活動範囲は、以下のようになります。
(1)売れる製品価格の試算
(2)利益創出を狙いとした製品目標原価の設定
(3)製品の付加価値を確保するための製品必要機能設定
(4)目標コストと必要機能を具現化するための内外作戦略の策定
(5)競争優位のコスト実現のための種々の改革
企画購買は、「物を買う購買」から「知恵と技術を買う購買」に主軸を移した購買の姿を表したものです。
企業年金
Business Annuity
企業が従業員向けに導入する私的年金制度で、国が運営する国民年金や厚生年金保険等の公的年金の補完として位置づけられます。
将来受ける年金額を決めておく「確定給付型」と掛け金を決め運用成績で給付額が変わる「確定拠出型」があります。確定給付型は厚生年金の一部を代行運用もする「厚生年金基金」と代行運用がない「確定給付企業年金」が代表的です。
公的年金の給付水準が下がる中、公的年金を補完する企業年金の充実が課題で、厚生労働省は今国会に提出した年金改革法案には企業年金の積立金を転職先に移せる仕組みや確定拠出年金(日本版401k)の掛け金引き上げなどを盛り込みました。
キャッシュ・バランス・プラン/CBプラン
Cash Balance Plan
キャッシュ・バランス・プランとは、国債利回りなどの指標利率に応じて目標運用利回りを設定し年金原資を積み立てる方式で、「確定給付型年金」の一種です。2002年4月から、金利連動型の新型の企業年金として可能となりました。
具体的には、仮想個人口座を設け、毎年の付与額(たとえば、一定額や給与の一定割合)にあらかじめ定めた客観的な指標(たとえば、国債利回り)に基づく利率で付利を行い、支給開始時までに積み上げた元利合計額を年金原資として年金給付を行う給付設計となっています。
管理は、実際に年金資産を個人ごとに区分するのではなく、一括でなされ、事業主(基金)がその資産を運用することになります。
従来の確定給付年金では、運用成績が計画に達しない場合、企業側がすべて穴埋めしなければならないが、経済環境で利率が変動する新型年金なら企業の負担は軽くなることができます。
一方、確定拠出年金(日本版401K)は成績悪化に伴う企業の追加負担はゼロですが、従業員はすべて自己責任で運用する必要があるのに対し、新型年金では従業員は運用責任を負わないので投資・運用経験の少ない従業員は安心できるメリットがあります。
QR
Quick Response(よみ:キュー・アール/クイック・レスポンス)
QRは、1980年代に米国で誕生した消費財企業における改革の考え方と方法論です。主にアパレル業界に適用されます。
日本では、1990年代に国内繊維産業の構造改革を主導する繊維構造改善事業協会が組織され、産官協働でのQR活動が進展しました。
QRでは、(1)効率的な品揃え、(2)効率的なプロモーション、(3)効率的な生産・調達、(4)取引ルールの透明化という4つの領域における改革機会を追求し、消費者満足と収益力の強化をねらいます。
上記の改革機会追求にあたっては、社内機能間はもとより、企業間とのコラボレーション(協働)を必要とします。消費者の需要に牽引される高精度、高速・高回転のビジネスモデルをいかに築くかが焦点となります。
最近では、サプライチェーンマネジメントという言葉に置換されてはいるが、効率的な需要充足だけではなく、効果的な需要創造との同時実現を追及する姿勢が大切です。
QC7つ道具
Quality Control
SFAとは、ITを有効活用して営業プロセスの革新を図る手法です。従来の営業支援系システムとの違いは、断片的に構築したシステムではなくトータルの営業支援システムにあります。
営業プロセスでのIT支援領域としては、大別すると「マネジメント・プロセス支援」と「商談プロセス支援」があります。
「マネジメント・プロセス支援」とは、営業におけるPDCA(Plan→Do→Check→Action)サイクルに応じたIT支援を行うものです。得意先情報データベース(全社的顧客情報の一元管理の視点で考えるとCRMの概念につながる)、販売計画支援、日常活動(訪問計画・営業日報・案件情報・販促情報)支援、活動成果把握支援機能などでIT支援を行います。
「商談プロセス支援」は、商品・技術情報、提案書雛形、営業ノウハウ集など商談場面で必要とされる情報をITで支援するものです。
SFA構築にあたっては、現状の営業プロセスをCS向上・競争優位・生産性向上などの視点から見直すことが不可欠であり、IT先行型でシステム化を急がないこと。
また、SFAパッケージソフトの選択にあたっては、安易に採用するのではなく、自社の営業特性や営業のレベルなどを踏まえて十分検討した上で行う必要があります。
グリーンベルト
Green Belt
グリーンベルトとは、社内における機能部門単位での課題解決を推進するメンバーを意味します。ブラックベルトのように全社的規模のプロジェクトではなく、自身での業務範囲内の課題解決に取り組むことです。
グローバル人材
海外で活躍できる人材のこと。言語習得だけでなく、ローカルの価値観を理解したうえで、自社のDNAを融合して経営成果を達成できる能力が求められます。
経営ビジョン
Vision
経営ビジョンとは、『長期的時間軸を持って、企業の目的や使命、実現・提供すべき企業価値などの「将来あるべき姿」を明らかにしたものであり、そこに至るための企業独自の中核能力(コア・コンピタンス)や経営資源の展開方向(方針・戦略)、および企業内で共有されるべき思考・行動様式や行動規範を集大成したもの』であります。
記憶に残る程度に簡易に述べるならば、企業経営全般にわたる『革新活動の基本設計図』であるとも言えます。
Visionを直訳すると、「視覚」「視力」「創造力」「洞察力」「未来像」といった言葉になるが、従来、日本企業が描いてきたビジョン「未来像」の多くは、将来の社会環境・経営環境を十分に「洞察」しないまま、また、未来像に至る道筋(戦略)を「創造」しないままのものであった感が強いです。
これに対し、ビジョナリーカンパニーと称される欧米の「理念主導型企業」の場合には、経営ビジョンの原点は「経営理念」であり、経営理念の原点は「創業者を含む歴代トップマネジメントの経営哲学・世界観」であると位置付けています。3M、GE、IBM、ソニー等に代表されるビジョナリーカンパニーは、そのほとんどが業界の超一流企業であり、たとえ経営者が交代しようとも、何十年にもわたり成長を続けています。
成長の鍵は、トップが替わろうとも連綿と受け継がれ、全社員から理解・共感・共鳴・共有される不変・不朽の経営理念であり、それに裏付けられた企業戦略・事業戦略の構想力です。
経営ビジョンの狙いは、「トップをはじめとする全社員の想像力(Imagination)と創造力(Creativity)の喚起を通じた全社エネルギーの一つの方向に向けての結集」です。
先進的企業では「ビジョンが機能しないのではない、機能しないビジョンしか作ってこなかったのだ」という反省に立ち、「21世紀初頭をどう生き抜き、価値ある企業として世の中(Stakeholder)に共鳴されうるか」といったことを考え始めています。
社会や生活者との共鳴を主眼に、事業構造や企業風土の抜本的革新の基本設計図となる「機能するビジョン」を確立すること。21世紀を見越した「経営ビジョンの再構築」が始まっています。
ケーススタディ
Case Study
トレーニング手法の一つです。あるケース(事例)を題材にして行うこと。
与えられたケースに対してどういう意思決定や行動をとるか、といった判断力を養うことが目的の中心となります。また、一人ひとりが行うだけでなくディスカッションを加えることで、判断視点の共有化や広がりを期待することができます。
経営レベルでの意思決定から最前線の接客まで、「解が一つ」ではなく判断力が重要なことについて有益な手法です。
コア・コンピタンス
Core Competence
コンピタンス理論とは、ゲリー・ハメル教授(ロンドンビジネススクール:国際経営)とC.K.プラハード教授(ミシガン大学ビジネススクール:企業戦略、国際ビジネス)が主に日本企業の「強み」の研究に基づいて提唱する戦略論です。
コア・コンピタンスとは『顧客に対して、他社には提供できないような利益もたらすことのできる、企業内部に秘められた独自のスキルや技術の集合体』と定義され、具体例では、ホンダのエンジン技術、ソニーの小型化技術、シャープの薄型ディスプレイ技術などが挙げられます。
コア・コンピタンス形成の成功事例は、すべて5年~10年以上前から、未来を展望して長期的に企業力を鍛えてきた成果にほかなりません。つまり、成功するためには、5年~10年先を見越して、自社のコア・コンピタンスを育て、補完し、未来の市場に備えなければならないのです。
バブル崩壊以降の厳しい経営環境の下、どうしても目先の利益や現状を前提とした業務の効率化に走りがちであるが、今こそ、未来のための競争を考えなければなりません。“未来のための競争”とは、生まれつつある市場機会を自ら創造し、それを制覇(一人勝ち)する競争です。未来に一番乗りするのに必要な“企業資質”をコンピタンス理論では次の4つとして整理しています。
(1)未来のための競争が現在の競争と違うと認識する能力
(2)未来の市場機会を発見する洞察力を築く仕組み
(3)未来への長く険しい道程に向かって、会社全体を元気づける能力
(4)過度のリスクを避けながら、競合他社を追い抜いて未来に一番乗りする能力
企業は目先の利益にとらわれることなく、未来の市場をリードすることを目指さなければなりません。そして企業の独自の競争能力であるコア・コンピタンスを中心にして戦略を立て、それを実行していくこと(=コアコンピタンス経営)こそ、未来の競争に勝利する絶対的条件です。
コア・コンピタンス経営を推進する上でのポイントは以下の5点です。
(1) すでに保有しているコアコンピタンスの発見/確認
(2)コアコンピタンスの獲得・転移・進化・新規構築の計画
(3)コアコンピタンスの構築に向けた継続的努力
(4)コアコンピタンスの利活用に向けた社内への再配備
(5)他社に抜きん出たコアコンピタンスの防御(コンピタンス開発能力の定期的レビュー)
考課者訓練/人事考課
Training for Evaluation for Managers
人事考課は、処遇を決定するためのしくみであるとともに、部下の業務についての課題を明確にし、対策を打つためのしくみでもあります。
人事考課制度を定着させるための課題の1つは、考課者が部下の業務について、評価項目に基づいて判断する力をレベルアップさせることです。
人事考課を行うステップには、次の4つです。
(1)評価の根拠となる具体的な仕事ぶりの把握
(2)評価項目の選択
(3)評価尺度の選択
(4)育成・指導ポイントの明確化
この3つのステップごとの留意点を理解し、考課を行うことが必要となります。考課者訓練では、このステップを事例に基づいて体験し、人事考課の運用のポイントを解説します。
考課者訓練に活用する事例は、評価項目全体を網羅する事例から考課者が判断に悩む事例までいくつかのバリエーションがあり、訓練のねらいによって使い分けると効果的です。
合わせて、人事考課制度のしくみについて理解が不十分な点を明らかにし、社内への制度の浸透を図ります。
FMEA/故障モード影響解析
Failure Mode and Effect Analysis
製品またはプロセスについて、問題が発生する前に問題(故障モード)を識別し、予防する体系的な手法であり、「設計FMEA」と「工程FMEA」の2種類があります。
「設計FMEA」は、設計段階において、製品の故障モードを含めた設計以降の後工程(顧客まで)で発生する問題(リスク)を予測し、定量的に重みづけをした上で、リスク低減の方策(設計施策・製造施策)を実施します。信頼性、製造性の高い設計を目的に使われます。
「工程FMEA」は、製造品質に影響を及ぼすと考えられる製造プロセス上の品質不具合(リスク)を特定し、定量的に重みづけをした上で、リスク低減の方策(対策・管理)を実施します。新工程の早期安定化や工程の改善のために使われます。
また、自動車部品産業のISO9001セクター規格であるISO/TS16949において、コアツールとしてFMEAが要求されています。
コンピテンシー
Competency
コンピテンシーとは、ハイ・パフォーマ(成果を出している社員)の行動特性等を分析し、その結果を活用することで社員の行動を変え、業績向上を図るというシステムです。
コンピテンシー項目(職種ごとの様々な行動項目)ごとに、高い業績を上げる社員のレベル、また仕事に必要なレベルを示すコンピテンシーシートを作成し、これに基づいて人事考課や人材育成を行います。
コンピテンシーシートは人材の必要要件を分析的に明確にするものであり、最終的に目指す人材像を示すものではありません。
ハイパフォーマとは、「今業績が高い人」「今社員がまねる対象」であり、機能・役割などを考えて分析的に設定します。必要な人材を分析的に検討するだけでなく、「社員にとっての憧れの対象」「簡単に真似できないものをコアとして持っている人」を定義する「一流人材」を考えることも、企業にとって有用であります。
コンプライアンス
Compliance
単語本来の意味は、「(要求命令などに)従うこと」であるが、マネジメント用語としては「法令遵守」の意味で使われています。
文字通り、企業活動を取り巻く法律・規則を遵守し違反しないということであるが、広義では企業倫理、社会倫理の遵守も含んでいます。
社会からの企業活動を見る目は年々厳しくなっており、法律・倫理に違反した企業は存在そのものが問われるケースも発生するなど、企業経営においてコンプライアンスの重要性は高まっています。
それを受け、コンプライアンス担当の役員である「コンプラインスオフィサー」や、コンプライアンス委員会を設置するなどコンプライアンス体制の強化に取り組む企業も増えています。
しかし、コンプライアンスにおいて最も難しく重要なことは「社員一人一人が常に意識して、行動しているか」ということです。
組織体制のみならず、人事評価の項目に組み込むなど社員一人一人のコンプライアンス意識を高める対策が必要です。
混流生産システム
Mixed Production System
19世紀後半から20世紀前半は、フォードシステムにみる大量生産の確立がありました。
コンベアシステムやトランスファマシンによる少品種大量生産が、市場の成熟化とともに多品種小ロット生産になっていきました。
生産ラインはある程度の生産数量がまとまらないと自動化の採算が取れません。多品種小ロット生産になれば、自ずと混流生産にならざるを得ないのです。
ここでいう混流生産はとは、ある一つの生産ラインに、いくつもの品種が流れるラインで、ある程度自動化がなされているものです。
混流生産には、「ロット混流生産」と「1個流し混流生産」があります。混流生産を行うには、製品や部品の標準化、製品構造および工程の類似性、設備稼働率、ラインバランス、品種切り替え時間などの管理ポイントがあり、これを克服する必要があります。
CALS
Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Commerce At Light Speed(よみ:キャルス、カルス)
CALSの頭字語はいろいろ変遷しましたが、現在は“Continuous Acquisition and Life-cycle Support”ないし“Commerce At Light Speed”が用いられています。
CALSは1985年米国国防総省が提唱したイニシアティブ(推進運動)で、従来紙ベースで行われていた取引(広義)を2000年目標にデジタル化しようというものでありました。
もともとはロジスティクス業務の効率化をねらって、軍と防衛産業との間で行われるロジスティクス関連データ(文字、文章、図面、図形、映像など)の交換を、広く合意されたデータ交換標準を用いることによって異機種コンピュータ間の壁を乗り越えて行おうとするものでした。
その後、データのデジタル化がもたらす幅広い可能性が認められ、CALSはやがて軍の領域から民の領域にも拡大され、21世紀の製造業の戦略と認識されるようになり、多くの企業はCALSをBPRの手段として捉えました。
更にインターネットの普及とあいまって、CALSは電子商取引(EC/エレクトロニックコマース)の一環に取り込まれるようになっていきました。
現在米国ではCALSは当初の目標を達成したとして、関心はもっぱら企業統合(エンタープライズインテグレーション)に向けられています。もちろん、企業統合の手段は情報のデジタル化であります。
CALSの基本は、「データの作成は一回、その使用は繰り返し」ということで、しかも、それを一企業内で実現しようということでなく、グローバルに広がる関連企業が、作られたデジタル化情報を共有化して、同一の目的・目標を達成しようというものです。
我が国におけるCALSの取り組みは米国に遅れること10年、1995年のCALS推進協議会を設立して着手しました。官民力を合わせ、多くの活動、取り組み、努力がなされ、多大な成果を上げたが、その後、インターネット、EDI、ECを中心とした新しい動きがあり、CALS推進協議会は2000年5月その活動ならびに成果をECOM(電子商取引推進協議会)に引き継ぐこととなりました。
5S
整理・整頓・清掃・清潔・躾
職場管理上徹底されるべき行動・状態をレベル要素を加味して表現した言葉の総称のこと。
5Sとは、整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketu)・躾(Situke)の頭文字Sをとったもので、整理から整頓、清掃と、躾に向かうほど実施・定着化の難易度が上がります。このため「5Sが徹底されている職場は、管理レベルが高い」と言われます。
整理とは、「要るものと要らないものの区分をして、要らないものを一掃すること」です。重要性や使用頻度、購入単価などから必要性を区分し、要らないもの(すぐに使わないもの、余分なものなど)は職場から一掃すること。
整頓とは、「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ、安全に取り出せる」ように、物品の置き場を決めていくことです。
作業性・安全性・維持管理の容易性などを考慮して、場所と方法を決めることがポイントです。
清掃とは、「ゴミ・汚れのない状態にする」ことです。
ただ汚れを除去するだけでなく、清掃しながら設備・治工具などの異常を発見し、その異常を早期に解消することが、5Sにおける「清掃」の考え方です。 「清掃は点検なり」と言われています。
清潔とは、「ピカピカの状態に磨き上げる」ことです。設備・治工具・備品・作業などに対して「清掃」のレベルを上げ、最高の状態を作り込んでいくこと。
躾とは、「整理・整頓・清掃・清潔の状態を常に維持すること」です。日常業務の中で、担当者に守ることを徹底すると共に、維持管理していくためのルール・仕組みが要求されます。
5Sが徹底した職場は、無駄な作業や過剰在庫がなくなり、安全で効率的な職場状態が出来上がるのです。