テイスティングは Profiling ! ⑤ テイスティングフォームはロジカルに作る | 株式会社然|食の専門コンサルティング
テイスティングは Profiling ! ⑤ テイスティングフォームはロジカルに作る 2019.08.01

テイスティングにおいて、一番気を付けなければいけないことは
感覚に左右され過ぎない事です。

型(フォーム)を作り、フォーム通りに行うことで得る感覚を、
自分の知識にあてはめ検証、推論していくトレーニングを重ねることが大切です。



その為には、基本フォームをつくること。
どんな分野においても、型や基本というものが存在しますが、
基本フォームに沿って、何度もトレーニングを重ねることでプロとしての資質が培われます。

引退されましたが、大リーグ イチロー選手の「イチロー・ルーティーン」と呼ばれた、
打席に入る動作から構えるまでの一連の動きこそ、高度な技術とコンスタントな成果の源だと言われています。

スポーツはもちろんですが、武道や華道、茶道など、
あらゆる分野において、基礎の段階における『型』を重視しているのには意味があるのです。

基本フォームがなければ、それは我流になってしまい、特にテイスティングの世界ではほぼ通用しません。
分析を前提とした本質からずれてしまうからです。

   


基本は当然のことですが、飲み物、食材、料理などいずれも
外観 ➡ 香 ➡ 味わいと順番に進めていくことです。

 フォームの作り方

 1.自分のノートを作る
   (チェックする項目、コメント項目などフォーマットを作成もしくはネットからダウンロードする)

 2.書き込んだものを、口に出して繰り返す。 ※3分~5分以内にまとめる

 3.人前で話すイメージトレーニングを繰り返す。

   

スムーズにフォームに沿ってテイスティングの流れが出来てくれば、
次に行うのは、細分化することが次の段階です。

あらゆる物事において、まずは模倣することが大切です。

サッカーを例にするなら、
ボールが目の前にきたら ➡ プレイヤーはボールを蹴りながらゴールを目指します。

ボールを蹴るということが基本動作とすると、経験を積んだサッカー選手の動作は、構え(身体、視線など)から始まり、
ボールを単に蹴るだけでなく、相手プレイヤーを躱すために、フェイントを含めた踏み出しや腰の回転、軸移動など、
より細かい意識と対応が一連の動作になります。考えながらと言っても、練習で積み重ねた、動きの記憶が瞬時の判断と行動に
結びつきます。

テイスティングにおいても、例えばワインの場合だと、果実の香りを「ベリー系の香り」という表現を多用しますが、
これを、「熟した凝縮感があり、ブラックベリーを潰したようなニュアンス」というふうに掘り下げるのです。

また味わいでも同じことで、「強い酸味を感じる」 という表現ではなく、
「中程度の旨味のボリュームが膨らみ、すっきりとした心地良い酸味が伸びやかにアフターテイストを作る」

など、一つの要素を細かく分けて捉えていき、丁寧にコメントするのです。
これは、習熟度に応じて可能な限り細分化していきます。

これは、テイスティングに限らず、あらゆる仕事においても同じことですね。

そして、こういった内容をいついかなる場合においても、
第三者に対してスムーズに表現できなければ、プロとしては通用しません。
また専門よりの言葉ではなく、一般の方にも伝わるように、言葉を置き換えて表現できることも必要です。

  

ブラッシュアップのステップをワインを例にとって
まとめてみましょう。

STEP 1
  同じワインを繰り返し、外観、香り、味わいの順番で、フォームの流れにそって、
  出来る限り細かく分析的なコメントを口に出すトレーニングを行います。
 
STEP 2
  次に、比較しやすい味わいのもの、
  例えばあっさり爽やかな白ワインと、しっかりボリュームのある白ワインを比較します。
  
  対照的な2種類のコメントパターンを身に付ける事が、STEP 2の目的です。

  

STEP 3
  常に複数の異なる品種のものを比較しながら(最低2種類)、フォームに沿って
  テイスティングコメントを作ります。
  今までとは異なる味わいのニュアンスを、分析的な言葉に置き換え、
  言葉だけでその違いが第三者でも理解できるレベルにすることが目的です。

   この段階では、感覚だけに頼るような初歩的なものは意識的に排除し
   分析することで推論を重ねることが大切です。

STEP 4
  毎回、時間を計測するようにします。
  理想は、1種類のワインに対して3分~4分。
  この時間が短く感じられるか十分と感じるかは、STEP 1 とSTEP 2の反復練習をどれだけこなしたか、
  その練習量が大きく影響するでしょう。
  どんなものでも、基礎は大切なのです。

STEP 5
  同じ品種で国の違いや産地の違いは、慣れるとさほど難しくはありません。
  さらに進めるのは、それぞれの地理的要因、気候条件の違いなどをデーターをして把握し、
  知識として整理していくことです。

  ブドウ畑の緯度、標高、斜面の向きなど、いわゆるテロワールと言われるもの。
  そして、栽培方法や収穫方法、醸造方法、熟成方法などテクニカル的な情報。

  こういったことを知識として整理しながら積み上げていくと、理論的なテイスティング能力、
  すなわち味覚のプロファイリングが、プロとし通用するようになります。

ここまでクリアできれば、
ようやくプロとしての入り口、つまりプロとしての初級段階に立てるレベルに到達していることでしょう。



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