今回、「酸味」をテーマにしたのは理由があります。
私達をとりまく食生活は、国際化の影響もあり、かなりの西洋化が見受けられます。
テイスティングにおいても、ワイン、コーヒーはもちろんですが、
フランス料理やイタリア料理、スペイン料理など、すべてに共通しているのが、
「いかに酸を理解するか」ということが基本になります。
酸味というと何を思い浮かべるでしょうか?
レモンを初めとする柑橘類、ベリー系の果物、トマト、ヴィネガ、ワインなど、
西洋料理のおける、ある意味の軸になるものが本当に沢山あります。
と、いうことで今回は「酸味」の捉え方を学んでいきましょう。
ある白ワインをテイスティングしている設定で、
初心者Aによるコメントを記載します。
※ワインは白ワイン シャルドネ種であることが前提です。
「力強いアタックです。 全体的に爽やかな柑橘系の果実香が強く長く続きます。
甘味はなくドライな印象で、勢いのある酸を感じます。
苦みもあり、力強い酸が長く最後まで続きます。 余韻は長めで6秒~8秒くらい。
辛口で、柑橘系果実味のたっぷりしたワインです。」
さて、このコメントをチェックしていきましょう。
甘味がないのにアタックが強いとありますが、これでは前提条件が分かりません。
またアタックが強いと言いながら、説明の軸はほとんどが柑橘系と酸の印象になっていて、
強いアタックの内容ではなくなっています。
また、「果実味」という表現は意味がありません。
この果実味を分析するのが目的なのですから。
ワインのテイスティングを前提にお話ししますが、
アタックの要素は基本的に甘味で、ここにアルコールの印象、次にボディ、酸味、食感、苦味、余韻、という具合に、
明確に前半、中盤、後半についてすべて述べます。
そして、まとめとして『柑橘系の果実味が非常に印象的な辛口白ワインです』
というのであればコメントとして成立するでしょう。
酸の表現について、気を付けることとして、
まず第一に酸が豊富かどうか『量』を捉えます。
そして第二に『質』です。
ワインの場合ですと、MLF(Malo-Lactic Fermentation)をしていれば酸がまろやかに感じられる、であったり、
MLFをしていなければ、フレッシュ、シャープ、といった表現が出てくることでしょう。
そして第三に、長い、短いといった「持続性」です。
料理にしても、コーヒー、ワインなど、
酸の表現において、その製造過程はとても重要な判断要素になります。
加えて、ワインの場合だとMLFは産地、ブドウ品種を特定する重要な要素になります。
今回の場合における流れを整理してみましょう。
爽やかな酸味 まろやかな酸味
・冷涼環境 ・温暖環境
・リンゴ酸による酸味 ・乳酸による酸味
(MLFしていない) (MLFしている)
+
ボリューム感
👇
持続性
酸味は常に、この3つを軸に捉えるようにしましょう。
酸味の質 ➡ 酸味のボリューム(量) ➡ 酸味の持続性
今回、シャルドネ種を例に挙げた理由は、「酸」を純粋に見るという点では、
これほど分かりやすい、適したアイテムはないからです。
特にシャブリはその典型的なワインでしょう。
格付けが上がったとしても、ボリュームがありながら酸は保持されるからです。
テイスティング対象がワインであるならば、
シャブリの味わいを立体的に掘り下げたコメント出来れば、
プロとしての最低限のテイスティング能力はあるだろうと予測できます。
今回は、『酸』のみに焦点をあてた内容になりましたが、
全体的な捉え方としては、例えばトマトの場合だと、
「糖酸バランス」など対象によって柔軟な思考は必要にはなってきます。
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