『高慢と偏見』(Pride and Prejudice)は、ジェイン・オースティンの長編小説。
発刊されたのは200年以上前の1813年1月28日のことでした。
あまりにも有名ですから、詳細は割愛しますが、
18世紀末から19世紀初頭のイギリスの片田舎を舞台として、当時の女性の権利や結婚事情と、
女性はこうあるべきだという固定観念が社会を覆っている中、誤解と偏見から起こる恋のすれ違いを描いた恋愛小説です。
精緻を極めた人物描写と軽妙なストーリー展開により、オースティン作品の傑作とされています。
実際近代イギリス長編小説の頂点と見なされ、
大学の初等レベルから高等レベルまで幅広くオースティンの作品が扱われており、その影響力の高さが窺えます。
さて、偏見・・・
“アンコンシャス・バイアス”(unconscious bias)という言葉は、ここ数十年、様々な形で注目され取り上げられています。
日本語だと、“無意識な偏見や無意識な思い込み”と訳されます。
実際、ほとんどの方が、この“アンコンシャス・バイアス”を持っていると言われています。
ただ、これほど面倒で厄介なものはありません。
一方、意識すれば全ては難しいかも知れませんが、限りなく無くすことは可能です。
ところで何故、アンコンシャス・バイアスを無くす必要があるのでしょうか?
一つ挙げると「その人やモノの可能性・潜在能力を消してしまう」という事です。
現代的な問題を対象にするならば、どんな学問分野でも、職業でも、性別やバックグラウンド(背景や経歴など)に関係なく、
自分が「この分野が好き、この場所なら輝けるかも」と思うことをするべきだと考えています。
本来、“アンコンシャス・バイアス”(unconscious bias)というものが無ければ、
リケジョ(理系女子)やドボジョ(土木女子)やイクメンというような言葉は生まれてこないはずなのです。
日本は、ジェンダーギャップが極端に大きく(生物学的な性差ではなく、社会的・文化的に形成された性差のギャップ)、また、「一般的には、これが当然、普通だ」など、前例と慣習を元に、未来の可能性を狭めてしまっている事があまりに多い。
いわゆる頭の固いステレオタイプは、前例と慣習を基盤とする役所であれば、多少は重用されるかも知れませんが、民間企業において、また一般的に認識されている職人の世界においても、未来への創造はできません。
厄介なのは、自分が先取的でリベラルであると思い込み、
先見性という点において、無意識に“アンコンシャス・バイアス”(unconscious bias)になっている人です。
これは一般的に、平均よりも優秀な所謂優等生タイプに良く見られます。
彼らは比較的理解も早く、社会への意識もある為、
自分達が“アンコンシャス・バイアス”(unconscious bias)であるという事実に全く気付いていません。
その為、滔々と、さも自分達が物事を深く理解し、未来への可能性も含めて知見があると誤解しているのです。
典型的な例として、彼らは彼らが理解していると思い込んでいる知見の表面的な内容の理解に留まり、掘り下げると全く対応できません。
本来、未来への展望は浅薄短慮で開けるはずもありません。
ある種の傲慢と偏見と言えるでしょう。
経営者、マネージャー、弁護士、税理士など、あらゆる分野において、
“アンコンシャス・バイアス”(unconscious bias)による、未熟な対応が散見されます。
一方、常により良きゴールを目指し、改善を続け、己に疑問を持ち続ける人は、
業種業態に関わらず、常に新たな結果を出し続けていらっしゃいます。
「人は答えを得た時に成長するのではなく、疑問を持つことができた時に成長する」
これは、1978年にスペインに渡り、建築家ガウディが設計した教会の建設に参加してきた彫刻家・外尾悦郎氏の言葉ですが、人も企業もまさにその通りだと思います。
現代社会においては、「答えを得る」行為には多数の選択肢が存在します。
インターネットでの検索に始まり、書籍からの吸収、など数十年前では考えられない程、情報があふれかえっています。
結果、思慮深く掘り下げる論理的思考が出来ない人が増えました。
本や新聞など、文字を読むことよりも、動画や写真に慣れてしまうと思考能力が低下するのは当然です。
「疑問を持つ」行為は基本的に自分の内部で生成されるものです。
もちろん外からの刺激によることもありますが、最終的には自分自身の行為です。
この「疑問を持つ」という行為は、人にとって大切な大きな能力だと言えるでしょう。
過去の経験、慣習、常識にとらわれず、物事の本質に迫る疑問を持つことで成長へとつなげていきたいものです
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